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あなたのことばかり。

ちょっと、ちはやふる最終話について話させて。(ネタバレあり)

2022年8月1日の今日。ちはやふる最終話が公開された。

このブログでは一度も言ってなかったと思うけど、実は私は10年以上、単行本でちはやふるを読み続けてきた。読み始めた当初の私は小6(当時、確か10巻くらいまで既刊だったような)、今や大学院2年生。千早たちを追い越して、いい歳になってしまった。単行本派の私も今回ばかりは(正確には7月頭発売の8月号も)BE・LOVE本誌を買って、最終話を見届けることにした。7月号を読み終え、後に書くように、うわぁこれどうやって着地させるんだろ、とドキドキワクワクして、そして今日、最終話の載ったBE・LOVE9月号を無事に手に入れた。そして読んだ。

以下、ひとりではどうにも処理できなくなったいち読者による最終話の感想です。当然ネタバレの連続なので、未読の方はどうかここでUターンしてください。これからちはやふるを読む予定のある人は絶対に、そうでなくてもここで結末を知ってしまうのは絶対におすすめしません。どうか、ここでそっとブラウザバックするのです。いいですね?...言ってしまうと、ネガティブな感想もないことはないので、最終話の晴れやかな読後感を害されたくない方も読むことはおすすめしません。

では、以下ネタバレ込みの感想です。どうぞ。

いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜そうきたか、という気持ち。読み終わってからTwitterでいろんな方のツイートを拝見して、既刊の49巻を大局的に眺めた上で感想を述べておられる方もいて、すごいなぁと思いましたね、残念ながら私は新刊が出るたびに買い足していき、その頃には前刊の内容をすっかり忘れている...の連続だった人なので(記憶力がポンコツ)、全体的にちはやふるを眺めることはどうも苦手で、とはいえ、10年以上追いかけ続けるくらいには愛を持ってずっと読み続けてきたお話だから、ずっとお話の根底にあり続けている流れや精神みたいなものは分かっているつもりです。なので、精緻に論理の整った感想ではないにしろ、ちょっとものをいうくらいは許されるのではないかとも思っています。許してください。

ちはやふるの根底には、常に千早、太一、新3人の恋愛感情の揺れ動きがあって、それは全話に通じる要素として描かれてきていて、最終話前のBE・LOVE8月号掲載話には恋愛要素の大きな回収は描かれなかったものだから(そりゃ名人戦クイーン戦の結果を描く回だったのだから当然といえば当然である)、さぁ今まで大展開してきたこの3人の恋模様をどう着地させるのか、最終話を読む私の全関心はそこに向かっていた。

 

だからこそ、一言でいうと「拍子抜け」した。え、あ、そんな、あっさりくっついちゃうの???

私が勝手に予想していたラストは「どちらともくっつかず、親友・良きライバル同士としてこれからも仲良くする」だった。恋愛体質じゃない千早が何年もかけてじっくり煮詰めた「友情」を「恋愛」として自分の中で整理をつけるとは思えなかったし、太一も新もどっちも大事なの!スタンスの千早がどっちかを選ぶっていうのも想像つかなかったんだよなぁ......まぁこれはいち読者の勝手な想像にすぎないわけで、これが実現しなかったからってどうってことない。ただ、ここまで大切に繊細に積み上げてきた3人の、ただの友情とも恋愛感情とも片づけ難い、複雑な関係性を、試合後の階段のシーンと、卒業式後の部室のシーンと、知らされてびっくりの新の描写、それだけで着地させてしまわれたのが何とも......うぁ〜〜〜〜〜そうかぁ〜〜〜〜〜〜という気持ちで......

ここまで私が読み続けてきたのは末次先生の紡ぐちはやふるの世界観が大好きだからで、その気持ちに偽りはない。だからこそこの結末もすんなりと受け入れてしまいたい。しまいたかった。

思えば千早は大事な大会のときでも太一をいつも気にかけていたし、一方の太一もかるたから離れたあともやっぱり千早を応援していたし、今から1巻から読み直せばまぁそうかと思えるとは思う。千早と新の描写よりも、太一と千早の描写の方が多いし。でもやっぱり、はじめから千早に真っ直ぐで、不器用ながらもひたむきに千早に想いを伝えては返事を先送りにされ(ここ大事、千早は恋愛には疎いけどちゃんと告白として受け取ってはいるのだ)、それでもずっと一途に千早を想い続けてきた新はどうなるんだと......私は決して太一が抜け駆けしたとか、何年も2人を相手に思わせぶりだった千早をずるい女だと言いたいのではない。

でもあの結末を描くのであれば、千早の描写をもっと丁寧にしてほしかった。あの途切れ途切れの「好きだよ」に至るまでに彼女の心の中の何が動いたのか、ずっとずっと先送りにしてきた返事をなぜあのタイミングでしようと思ったのか、なぜ新ではなかったのか......もっというと、太一の「今更?」も、試合後の階段では俺だけ置いてけぼりだ...とシュンとしてた割に結局千早は俺のもんだということには自信があったんだな...なんて思ってしまった...もっと驚いてほしかった...ただの照れ隠しかもしれんけど...

結局傍にいたやつが勝つんかい。福井に帰った時点で新に勝機はなかったってか?そんな思いがぐるぐる渦巻いてる。新に人権はないんでしょうか。キャラクターみんな愛おしいからこそ、みんな幸せになってほしかった。そのためにも、千早がどちらかを選ぶ結末は避けてほしかった。どちらかを選ぶのであれば、片方がどうやっても満たされない結末となってしまうのだから、それ相応の説得力を持たせた結末にしてほしかった。あれではあまりに太一に都合いいし新があまりに不憫である。新派(私)の贔屓目を抜きにしても。

私は1巻を読んだときから一貫して新派なので太一派の気持ちは推し測ることしかできないけれど、あの結末は太一派にとっても完全に幸せなものではなかったのではないか、とも思う。知らんけど。満足してたらごめんね。太一は成績優秀で運動もできてイケメンで実家がお金持ちで器用で、でも一番近くにいる女の子・千早の心と、かるたの名人位にだけは手が届かない、そこが魅力だったのではないのかと。あの満たされなさが太一というキャラクターを魅力的にしていたのではないかと。かるたの名人位はまだだけど、千早という大きな存在が手に入ってしまった京大生(しかもたぶん医学部)の彼はもはや無敵である。名人位の新を倒しにいく、というセリフもあったし、もうそんなことになったら彼は完全体になってしまっておもしろくないので新どうか頑張って防衛してね...太一にだけは名人位譲らないで...

それにしても物語最後のセリフに「かるた、しよっさ」が使われてしまったのが新派としては切なかった...意を決して千早に告白したときのセリフを、くっついたあとの2人の前で言ったのは、純粋に「さぁ、これからかるたの試合に臨もう」という意味なのか、それとも千早のことはもう吹っ切れたということなのか...あのセリフが再び使われたのが偶然だとは思えないし、新が千早を大事に大事に想い続けるシーンがどれも不器用で、でも切実で愛にあふれてて狂おしいほどに好きだっただけに、そのセリフがあんな形で物語のまとめに使われてしまって苦しい...新...悪いことは言わないからどうか千早のことは忘れて幸せになってね...

ここまで勢いでいろいろ書いてきたけれど、素敵なシーンももちろんあったんですよ、試合結果含め、競技かるたを描いたスポーツ漫画としては最高の終わり方だったと思うし、新推しとしてはインタビューのシーンはかなりグッときた、オタクはじいちゃんの存在出されると泣いてしまうのよ...(それにしても千早のインタビューはどこいった...聞きたかったよ...?そこに太一を選ぶ伏線を張ることもできたのでは...ゴニョ...)それに、駅で千早が千歳に認められて、膝から崩れ落ちて泣いてしまうシーンは私も泣きそうになった。千早の中でのゴールはお姉ちゃんに認められることだったんだな...名人戦クイーン戦にはじまり、最後の大会のシーンまで、これまでの登場人物たちが大集結してるのもよかった。さっきも書いたとおり登場人物みんな愛おしいし幸せになってほしいと願っているので、元気な顔を見られてうれしかった。

50巻が出る頃には、もっと先には、この結末を受け入れられている自分もいるかもしれない。何より、ちはやふるという作品が大好きであることに変わりはないし、1巻から49巻までずらりと揃えた単行本は宝物で、新はずっとかっこいい。とりあえず、今度11月号に載るらしい番外編と50巻を楽しみにしています。番外編、千早と太一がラブラブだったらどうしよう、という不安は...胸の片隅にでもおいておくとして。