ジャニーズWEST12枚目のシングル「アメノチハレ」初回盤Aに収録されているカップリング曲、「アンジョーヤリーナ」。
ジャニーズ界隈ではシングルが発売されるたびに、カップリング曲が良曲だと「なんでこれがA面じゃないの?」「カップリングだなんてもったいない」という意見が出るのが常ですが、アンジョーヤリーナは特にそういう声が多いように感じます。
私自身WESTの楽曲が好きで、今回のカップリングにかける期待は高かったんですが、ラジオで初公開された音源を初めて聴いたときの興奮は想像以上でした。
疾走感があって、何だか外に出たくなるような、だけど描かれていることは実は結構鬱々とした内面の問題で。うーん、これは単なる応援歌ではなさそう。
以下、私がこの曲についていろいろ考えたこと思ったことをつらつらと書いていきます。歌詞の解釈とか歌割りとか、ここが好きだなあ!ここに勇気付けられる!ということをゆるゆると。
まず、アンジョーヤリーナの意味。
私これ最初、NEWSの「チャンカパーナ」的な意味のない造語だと思ってたんですが、これ大阪弁なんですね〜知った時びっくりしました。
「アンジョー」は大阪弁で「安生(あんじょう)」、「うまく」という意味で、「ヤリーナ」は「やりいな」、「やりなさい」といった意味だそうで。
一回聴き終えて、このタイトルにめちゃくちゃ納得しました...という話はまた後で。
曲を再生すると、いきなり歌声が耳に飛び込んできます。
号泣するくらいの感動を
一生一度の冒険を
味わいたいんだ それは贅沢じゃない
愛せ君の人生 アンジョーヤリーナ
「号泣」「感動」「冒険」
少年マンガを彷彿とさせるような単語が並びます。私はこのひとブロックでワ◯ピースを思い出しました、読んだことないけど(イメージがあったんですなんとなく…)。一面の海から一気に目線を上げて、そこに果てしなく広がる真っ青な空。そこに白字で現れる「アンジョーヤリーナ」の文字…うん、ありそう(?)。
曲調も爽やかな疾走感溢れるバンドサウンドで、そんな気分を盛り上げます。しかもドラムがマーチっぽい!タラタタ、タラタタ...と始まってどんどん強さを増していく。ワクワク感が一気に高まります。
そして何よりここのポイントはかみしげスタートなところですね!なにわ侍のシルエットやラブクリに代表されるように2人の声の相性は抜群。しかもこの2人が歌うと、2人ともトーンが高いこともあって初々しさ、若さが特に出るような気がします。しげのワクワク感とあたたかさのあふれる歌声と、神ちゃんの透明感のある、だけど確かに耳に残る歌声。そんな2人が合わさった時の「青春感」の強さたるや…!!!そして全員揃った時、やっぱり7人最強…と思えます。
曲が始まってわずか21秒。オタクはこんなにも忙しい。(お前だけだよ)
しかしその後に続く歌詞で、想像した曲の世界観はどうやら違うらしいということに気づかされました。
普通自体が難しい時代に
もがき続ける僕ら いったいなんなんだ
余裕で笑える人は別世界で
…あ、これは冒険ものの少年マンガじゃない。
今の時代を生きる人たちが主人公の歌だ、と。
まず、低音でハスキーボイスで、都会的なイメージの流星が「もがく」っていう単語を歌ってるのすごくよくないですか…???(そこから?)流星がここに当てられたの(これは曲全体の歌割り全体に言えることだけど)、声との相性とかで選ばれた結果だとは思うんですけど、流星が低音得意だからAメロ冒頭任されやすいの分かってるんですけど、それにしてもこの歌割り、偶然だったとしても最高です、ありがとうございます(合掌)
私はこの部分、というかこの曲全体の主人公(一人称)はWEST自身なのではないかと思っています。私はね!
一見華やかに見える芸能界。ただ、その現実は厳しい。「売れたい」という願いを叶えるには必死にもがいてあがいてチャンスを掴み、それをひとつひとつものにしていかなくてはならない。
そんな姿を「余裕で笑える人」は、7人から見ると「別世界」にいる。
それは、もう芸能界で一定の地位に上り詰めて、若手を高みの見物している人かもしれないし、芸能界自体ナメている一般人かもしれない。ジャニーズだから、とそれだけで相手にしないような人もいるでしょう。いずれにせよその人たちは現実も知らないで好き勝手なことを言う。
「パリピ」「リア充」勝手にそう括られてはたまったものではない。そこでこう歌う、「やかましいわ 黙ってくれないか」と。のんちゃんの少しがなるような歌い方からも、その反抗心が伝わってきます。
加工されてる真実 過去になってく現実
この世界では、真実が捻じ曲げられて伝わってしまうことも多い。真実は加工され、現実は虚偽に覆い隠されて過去のものとなっていく。
嵐を掛け持ちしている私は、ここで活動休止発表後のニノの言葉を思い出しました。僕らは僕らからの言葉を大事にしている、だからこそそれを曲げられるのも違った形で書かれるのも嫌だ、それがファンに伝わってしまうから、というものです。
本人たちの言葉に限らず、プライベートなことや考えていることまで、(悪意があるかどうかは知りませんが)いちいち記事になり、それがすぐに拡散してしまう今。
照史くんメインで、そこに神ちゃんがすっとベールをかけるようにハモる。2人の抑えた歌い方が、このパートで歌われていることの虚しさとか物悲しさを表現しているように感じます。
そしてこう語りかけるのです。
だからこそ僕たちは歌いたいんだ
嘘じゃない本当の気持ち
聞いてくれますか?
「加工」されていない、等身大の本当の気持ちを届けたい。嘘じゃない本当の気持ち、というどストレートな言葉が心に刺さります。
ここのブロック、これまた嵐のことで恐縮ですが、活動休止発表後、5人がとにかく「僕らの言葉だけ信じていて」とファンに何度も何度も言ってくれていることを思い出しました。
素直すぎるくらい素直な淳太くんがここのパート歌うのがもうばちっとはまってるし、「聞いてくれますか?」でばどの2人になるのが安定感に満ちてて安心します。
日常はそんなにド派手じゃない
ルーティンワークは間違いなわけじゃない君の毎日に 君の日常に
影がさしたら 呼んでおくれよ
「毎日同じことの繰り返し」を嘆く歌が溢れる今、地味でありきたりな毎日をむしろ肯定してくれていることにみんなすごく救われているのではないか??
勝手にそう思ってます。そしてこれこそこの曲の核心だと思ってます。
何でもない日常を地に足つけて生きることこそ大事なんじゃないの?毎日毎日同じことをしとってもええやん!
これぞ「国民の友達」だよ、これでこそジャニーズWEST。
しかも、そんな繰り返しがもし嫌になったら呼んでほしいと。ここまで言ってくれる。
過去の記事で、私にとってのWESTという存在(というより曲について言及してますが)についてこう書いたことがあります。
WESTの曲には、落ち込んでしゃがみこんで泣いている人がいたら一緒にしゃがんで泣いて、ひとしきり泣いたら一緒に立ち上がって「歩けるかー?」なんて訊きながら同じ歩幅で歩いてくれるような、そんな人の心に寄り添ってくれるようなぬくもりがあって、それを7人が確かな歌唱力で歌うから歌詞にものすごく説得力があると感じています。
嵐ヲタがジャニーズWESTに救われてどちらも愛してる話。 - Beautiful days
今回アンジョーヤリーナを聴いていて、それを再確認しました。
WESTは本当に来てくれそうなんですよね…
こういう歌詞が綺麗事、上っ面に聞こえない。
「嫌なことあったらまた来てください、必ず幸せにして帰すんで」
これまでのコンサートでメンバーの口から聞かれたこのセリフとも重なります。
そして濵ちゃんのソロの歌声。
濵ちゃんの歌声からはいつも歌ってる時の表情が想像できてあったかい気持ちになります。この部分の歌声からは、アメノチハレのmvでずーーーっと天使のごとくニコニコしていた濵ちゃんが思い出されてめちゃくちゃほっこりします。
それと同時に濵ちゃん優しいからほんまに来てくれそう…とか思ってしまう。
そして畳み掛けるように冒頭のフレーズが繰り返されます。
号泣するくらいの感動を
一生一度の冒険を
味わいたいんだ それは贅沢じゃない
愛せ君の人生 アンジョーヤリーナ
「号泣するくらいの感動」や「一生一度の冒険」は一見特別なもののようだけど、実はそうではなくて、日々の普通の積み重ねの延長線上にあるものなんだよ!
そう語りかけてくれているように感じました。
君の等身大の人生を愛せ。うまいことやりや!
ふっと背中が軽くなるような、ぽんと背中を押されるような。そんなあったかさを持った言葉が、じんわりと胸に沁みます。
それに「愛せ君の人生」だけしげがソロで担当してるあたり、ほんとしげの歌声ってメッセージ的な歌詞との親和性が高いんだなあと感じます。
2番に入ると、ドキッとするような歌詞が出てきます。
後ろ向きが得意なわけじゃない
ただ前に何も見えないだけなんだ
だけどそんな僕にも意地がある
誰にも負けない何かをずっと探してるんだ
前(=未来)に何も見えない(=先が見通せない、どうなるかわからない)から、得意でもない(=望んでもいない)けど後ろを向くしかない(=過去を振り返るしかない)。
2番は過去のWESTを描いているのではないかな、と。
いや、新規の私がこんな推測しても何の説得力もないとは思うんですが...
ただ、WESTが苦しみながら、内心ズタボロになりながらもここまで来た、ということは、4/23の各メンバーのぶ誌から(特に淳太くん)伝わってきましたし、結成に到るまでの道のりが相当険しかったことも伝え聞いてはいます。
見えないデビュー、ようやく掴んだチャンス、だけどそこには7人揃っていなかった。そこから7人が奔走して会社を動かし、望んだ形でのデビューを掴み取った。
デビュー後も続く試練。今だって7人は現状に満足していないことでしょう。
芸能人として生きる以上、そしてアイドルとして業界で生き残っていく以上、「誰にも負けない何か」はグループにも個人にも必要なもので、今だってそれを求め続けている。各メンバー習い事をしたり趣味を磨いていたりするのはこのためだと思います。
そんな経緯とこの歌詞が、私には重なって見えるのです。
特に「ずっと探してるんだ」という部分。「ずっと」ということは、昔も今も、ということで。続けていないと「ずっと」という表現にはならないはずです。全力で突っ走り続ける「崖っぷちアイドル」の姿が、この言葉から浮かび上がってきます。
歌割りについてなんですが、ここがばどなの、控えめに言って最高です。上記の解釈に基づくなら特に...。ジュニア時代からずっと共にいる戦友同士、最強の相棒。もうこれだけで軽率に泣いてしまう。耳バカなので違うかもしれないんですが、間奏のAh…もばどですよね。これ以上ないです。
そして間奏明け。
あれでもない これでもない
見つからないのはどうやら自分のせいだった
振り向かず進め
「誰にも負けない何か」が見つからない理由。それは外でもない、後ろを振り返っていた自分だったと気付き、「振り向かず進め」と歌い上げる。
さっきの解釈に従うなら、現在のWESTが自身に言い聞かせているような感じになりますね、振り向くな、と。
本当に大事なのは、先が見えなくても今を全力で生きること。そのために過去を振り返ることも時として必要だけど、それに終始していては始まらない。
何回聴いても、ここの濵ちゃんの声の力強さには痺れます。まっすぐ遠くまで濁りなく届きそうな声で。今も書きながら聴いてて鳥肌立ってしまいました。ここが濵ちゃんのもいいですね、ばどからの流れを考えるとここは濵ちゃんしかありえないと思います(完全に私見)。
日常はそんなにド派手じゃない
ルーティンワークは間違いなわけじゃない
君の毎日に 君の日常に
影がさしたら 呼んでおくれよ
2度目のこのフレーズ。
1番を聴いた時点では「私たちの」日常だったのが、2番を経ると「WESTも含めた私たちの」日常になっていると感じます。
1番ではWESTは派手じゃない日常も、いつもと変わりないルーティンワークも肯定してくれて、疲れた時には呼んでね!と言い残し華麗に去っていくヒーロー的存在だったのが、ここでは、実は派手じゃない日常も、いつもと変わりないルーティンワークもWESTの日常で、WESTと私たちは同じ次元で日々を頑張って生きていて、俺たちも頑張るから、みんなも頑張ってね!疲れたら呼んでくれてもいいんだよ!と言っていそうな、いい意味で高嶺の花感が薄れて、すぐそこにいそうな、そんな親近感を備えた存在になったような気がするんです。
1番にだって、もがく描写もあるし苦しむ描写もあるんですが、それはどれも芸能人としての悩みで。でも2番は、アイドル以前に、ひとりの人間としてこれからどうしていくのか真剣に考えて、それでもアイドルとして生きていくこと、ジャニーズWESTとして活動していくことを選んだことが描かれています。悩みの次元が1つ下がって、私たちに近づいたという感じです。しかもその悩み(=「誰にも負けない何か」を見つけたい)は現在進行形で動き続けている(「ずっと探してるんだ」とあるので)。
過去、僕らこうやって苦しんだけど、こうやって乗り越えたよ!じゃないんです。
僕ら今も答え見つかってなくてずっと探してるんだ、君もでしょ?なんです。
なんかこういうところ、最高にWESTらしいなあ!と思うのです。
歌としては、しっとりと始まるのんちゃんのソロパート。甘く艶があるけどしっかりと一本芯が通っていて、心にすっと入ってくるのんちゃんの歌声。聴かせるような歌い方もこのフレーズにぴたっとはまっています。
次第にバックの音楽も、のんちゃんの声も力強さを増し、一気に大サビへと突き進みます。
号泣するくらいの感動を
一生一度の冒険を
味わいたいんだ それは贅沢じゃない
愛せ君の人生 アンジョーヤリーナ
アンジョーヤリーナ
最後に改めてこのフレーズを聴くと、冒険ものの少年マンガっぽいと思ったのはあながち間違いではなかったのかもしれないと思えます。
「誰にも負けない何か」を探し求める旅こそ「一生一度の冒険」で、それを見つけた暁には、(いや、その道中かもしれない)「号泣するくらいの感動」が待っている、ということなのかもしれません。これだけはみんなに誇れる、そんなものを山あり谷あり珍道中を繰り広げながら探すのが人生…。
まるでまだ見ぬ宝物を求めて旅を続ける冒険物語のように感じられます。
曲の最後では、「アンジョーヤリーナ」という言葉を2度繰り返しています。
以前ある人が、曲のラストで同じ言葉を何度も繰り返して歌うのが好きだ、まるで歌っている人自身がその言葉を自分に言い聞かせて確かめているみたいだから、と言っていたのを聞いたことがあるんですが、この「アンジョーヤリーナ」の繰り返しにも、ちょうど同じものを感じます。
「誰にも負けない何か」を身につけて、どこにも負けないグループになる。そんな決意表明の歌なのではないか...なんて、壮大なことを思ってみたり。
アンジョーヤリーナの作詞・作曲・編曲を担当し、名実ともに曲の生みの親である園田健太郎さんは、こんなツイートをしていらっしゃいました。
本日発売「ジャニーズWEST/アメノチハレ」初回盤AのM2「アンジョーヤリーナ」を作詞・作曲・編曲しております。こういう言葉が今必要とされてるんじゃないかなーと色々込めて作っております。本気で歌い上げて下さったメンバーの皆様に感謝です!何卒。#ジャニーズWEST #アンジョーヤリーナ
— 園田健太郎 (@sonodakentaro) April 24, 2019
「こういう言葉が今必要とされてるんじゃないかな」
この言葉からすると、これは決してWESTのことだけを歌った曲ではないということが分かります。 まぁメンバー作詞でもないし当然っちゃ当然か。笑
私流の考察を採用するなら、WESTを通じて今を生きるみんなの背中を押す応援歌、といったところでしょうか。
「うまいことやりなさい」
「愛せ君の人生」というド直球な、壮大にすら思えるこのフレーズと共に私たちに投げかけられたこの言葉。
人生を愛し、ダメな自分ともまあまあ折り合いつけながら、今を全力で走れ!僕らも頑張るから!
そんなメッセージとして受け取りました。
最初こそ違和感ありありだったこのタイトルも、今となってはこれしかないと思えるから不思議です。
目下一番気になってるのは、この曲のライブでの演出!かみしげ、ばどには向かい合って、互いの目を見つめ合いながら歌ってほしいなあなんて思います、どうなるんですかね...わくわく。
ここまでつらつらと思うままに書いてきましたが、これはあくまで私個人の独断と偏見による勝手な考察なので、これが正解というわけでは決してないです、念のため。
皆さんがこの曲のことどう思ってるか知りたいなあ...
「アンジョーヤリーナ ブログ」でちょくちょく検索かけてみようかな。笑